ツンデレな彼



秀徳高校のバスケ部。

今日の練習は終わり、高尾と緑間は部室で着替えていた。

着替え終わった高尾は緑間が着替え終わるのを待つ。

「真ちゃん、誕生日おめでとう」

緑間が終わったのを見計らい、高尾はそういいながら、軽く緑間にキスをした。

案の定、緑間は顔を真っ赤にして驚いていたが。

「真ちゃん、かわいい〜」

高尾は気にしていないようだ。

「ねぇ、真ちゃん。このあと俺とデートしよう。真ちゃんと行きたいところあるんだ」

高尾は緑間に後ろから抱きつくと耳元でささやいた。

緑間は顔を真っ赤に染めながら、わかったのだよ。と返事を返した。



電車を乗り継ぎ、向かったところはプラネタリウムだった。

「高尾、これは?」

「プラネタリウムだけど、真ちゃん知らないの?」

高尾の言葉に緑間はそれは知っているのだよ。と冷静に返した。

高尾はいいから、行こう。といって緑間を強引に中へと誘った。

席に座り、館内が薄暗くなる。

天井が満天の星で光り輝く。

七夕なので恒例の織姫と彦星の話も交えて星のまつわる話などが流れる。

途中、高尾が手を握って来たので恥ずかしながらも緑間は握り返した。

普段ならそんなことは断じてしない。と緑間は思う。

多分、相手の顔が見えないからだ。

緑間はそう自分に言い聞かせ、高尾の体温を手から感じながら

星々の話に耳を傾けていた。



プラネタリウムの上映が終わり、館内が明るくなる。

高尾は緑間のほうを見ると、ニコッと笑みを浮かべる。

「真ちゃん、もう行こうか?」

そういいながら、握っていた手を見せる。

緑間は急に思い出し、バッと握っていた手を離した。

「高尾、帰るぞ」

恥ずかしくなり、緑間は高尾の前をスタスタと歩き出した。

その後ろ姿を高尾は笑みをこぼし、後をついていった。

外に出ると辺りは夕闇に包まれていた。

「真ちゃん、何か食べていく?俺としてはまだ一緒にいたいんだけどなぁ〜」

安くて美味しいお店知ってんだよね。

といって、緑間の返事も聞かずにそこへと連れて行った。

強引な高尾だが、緑間はそんな高尾が嫌いではなかった。

むしろ好きだからこそ、付き合っているわけだが、

緑間は高尾のように甘えたりできなかった。

素直に好きという言葉も普段からいえずにいたのだ。

「高尾…」

「何?」

緑間の声に高尾は足を止める。

「…今日はありがとう…」

なのだよ。の語尾が小さくなって聞こえなかった。

そして、緑間は高尾にキスをした。

「真ちゃん?」

緑間からのキスはほぼないに等しい。

いきなりのことで高尾の頭は真っ白になっていた。

ただ、気持ちがいい。

それだけを感じた。

しばらく、2人は口付けを交わしていた。



「…あ〜ぁ、今日は真ちゃんの誕生日なのになぁ〜俺が得した気分だけど…」

本来なら高尾が緑間に色々としてあげたかったが、高尾がしてもらった気がする。

色々な意味で。

「高尾、これからもよろしくなのだよ」

緑間は高尾が美味しいといった店で定食を食べながら、そういった。

高尾はニコッと笑みをこぼし、

「真ちゃん、俺、離さないからね」






おわり